現在,様々な事業者が顧客データなどの個人情報を所有していますが,情報処理技術の発達により,その蓄積・流通・加工・編集が簡単に行えます。またネットワークの普及により,それが瞬時に世界中をも駆け巡るような状況が出現しています。適正に利用すれば,営業上非常に有用なデータとなりえますが,反面,事業者の管理が不適切であると,顧客データが外部に漏洩することにつながり,現実にそういった事故も少なからず起こっています。
たとえ個人情報の本人に実害がないとしても,本人にとっては自分の個人情報を誰が保管し,どのように使っているのか分からないため,不安や不快を感じる方も多いものと思われます。こうした個人情報保護に対する不安は,電子商取引への参加の大きな障害ともなっており,インターネットを利用しながらも,電子商取引の利用には至っていない例が多くなっています。また,平成14年度から住民基本台帳ネットワークが稼動したことにより,個人情報保護に対する国民的関心が高まっています。
平成17年4月1日より,個人情報保護法が全面施行され,事業者は個人情報の適正な取扱いが求められることとなりました。経済産業省においては,個人情報保護法で規定された事業者の義務規定をより具体化・詳細化し,経済産業分野の事業者及び業界団体等における個人情報保護のための円滑な取組みを促すために,ガイドラインを策定・見直し,個人情報保護法及びガイドラインの普及啓発に努めています。
経済産業省では,個人情報保護法で規定された事業者の義務規定をより具体化・詳細化し,経済産業分野の事業者及び業界団体等における個人情報保護のための円滑な取組みを促すために,平成16年10月に「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」を策定しました。このガイドラインは,個人情報保護法の施行後の状況等諸環境の変化を踏まえて,毎年見直すように努めています。
プライバシーと個人情報は重なり合っている部分もあるが異なる部分もあります。例えば,封書の表面の宛名や投函者の情報が個人情報であり,封書の中身がプライバシー情報だと考えるとわかりやすいと思います。個人情報を保護することはプライバシーを保護することに通じるますが,個人情報は保護一辺倒では社会が成り立たず,利用の局面も絶えず意識しておく必要があります。
公的機関には,家族構成や保有資産・所得・通院状況などの大量の個人情報が存在しており,情報資産の管理を徹底する必要性が高いです。近年では,外部の民間企業への業務委託(外注,アウトソーシング)がなされる場合も増加しており,その場合には,公務員法上の守秘義務が適用されないことなどから,外注先での安全管理が図られるよう発注者が監督することを委託契約で定める行政機関も多くなっています。
なお,住民基本台帳については,従来,第三者による閲覧が可能です。住民基本台帳の閲覧制度を使用する者は,便利屋・名簿業者など営利業者がほとんどて,窓口で「閲覧」の対象となった情報が人海戦術による手書きにより書き写され,行政機関から持ち出されて民間のデータベース等に記録される,ダイレクトメール発信等の営利目的で利用されるなどの状況が発生したことや,一部で犯罪目的の使用があったことから,法改正が行われ閲覧が制限されるようになっています。
個人情報保護法を形式的な理由に(法律で定義する個人情報とは全く異なるものの個人情報という名前をよいことに),説明責任を逃れる手法が数多く採られるという悪影響が挙げられます。個人情報保護法の保護法益はあくまでも生存する個人に関する情報のみであり,「企業による献金額」「企業内の情報」「単純な数字のみ」など個人情報に当たらないものの説明を拒む理由として,都合よく解釈をねじまげられることがあるのが現状です。